１６.　「夢で逢えるだけで……それだけで満足だった。……いや、本当はもう一度会いたかった。君に会って好きと伝えたかった。……でも、君は遠くへ逝ってしまったんだ。だから僕はまた眠る。夢を見るために。」

１７.　「意味を無くした僕の言葉はこの掌から零れ落ちた。何気ない日常からあまりにも唐突で、残酷な知らせ。頭が真っ白になり、意識が遠のく。閉ざされる視界の中、最後に目に映ったモノは………安らかに目を閉じた君の顔だった。」

１８.　「目に浮かぶのは、何もない所に咲いた小さな花。とても小さな花だったけれど、どんな時も懸命に咲き誇り、決して、枯れないように咲いていた。僕は水をあげようとしたけれど、いらないと告げるようにその花は枯れてしまった。僕は枯れてしまった花を拾い上げる。掌の花は形を無くし、風に吹かれて消えていった。」

１９.　「静かだ……君が居ないだけで、僕の世界はこんなにも色と音を失くすものなんだね。何も感じない………何も……」

２０.　「お前が……好きだ。ちゃんと伝えたかったけど……こんなにも伝えるのが遅くなっちまったな。まさか、お前が居なくなるなんて思ってもいなかったからよ……。好き、好きだ。大好きなんだよっ………」

２１.　「辛いんだ……君の気持ちがわかってあげられなくて。僕は君の為に何も出来ないって突きつけられたみたいで。辛いんだよっ………」

２２.　「形を無くした僕の心は、風に吹かれたように消えた。空っぽの僕には何も無い。食べたい物もやりたい事も愛しい人も。ただ、頭に浮かぶのは……」

２３.　「様々な色のライトが街を飾り立てる。男女が立ち止まり、仲睦まじい会話を交わす。ふと、自分の隣を見てみるが何も無い。私の隣には……誰も……」

２４.　「だからいいって言ってるだろ！俺はこんな姿誰にも見せたくねぇんだよ！こんな……髪もねぇ、やせ細った姿なんて……悪かったな、こんなやつの世話させてよ。……っ！……馬鹿。バカヤロウ……大好きだ……愛してる。」

２５.　「ほーら、笑顔。最期は笑顔って決めてただろ？もう、泣くなよ。こっちだって我慢してるんだからな。俺は楽しかったぜ？お前が傍に居てくれたから死ぬことなんか全然怖くねぇ。だから…な。笑顔だ。」

２６.　「悲しそうな顔すんなって。お前の人生はまだこれからなんだから。俺の辛さをお前が抱えてどうすんだよ。…こっち来い。ほら、よしよし。お前は強い奴だから、俺が居なくても大丈夫。……最後に一つだけ。『もっと強くなれよ。』」

２７.　「見てみろよ。あの桜の木。花なんて一つも咲いてねぇ蕾ばっかの桜の木。枯れてるみてぇに茶色ばっかり。俺はあれが満開の花を咲かせる頃まで生きれんのかなぁ……。ん？どうした？……別に泣いてねぇよ。泣きてぇ訳じゃねぇ。ただ、お前を残して去っていくのがこんなにも辛くて苦しいんだって、そう思っただけだ。」

２８.　「ばーか、お前の泣き顔なんて不細工なんだから泣くな。……っごめんって。でも、いつも言ってるだろ？お前は笑顔が一番よく似合うって。だから笑え。どんなに辛くても、悲しくても、泣きたくなっても、顔だけは笑っておけ。そしたらいつか、心から笑える時が来る。そんときには俺のことも忘れて前に進んでるはずだ。前に、ただまっすぐ前だけ向いて。笑顔で…な？」

２９.　「二つだけ、頼みを聞いてくれないか？……うん、二つだけ。……じゃあ一つ目、俺が死んだあと、俺の部屋のものは何も見ずに捨ててくれるか？……馬鹿っ！そういう意味でじゃねぇーよ。ほら……色んなもんあるだろ？卒業アルバムとか賞状とかさ。そういうのは取っておいてもどうせ辛くなるだけだからさ。そして二つ目、…………。一つ目とは矛盾してるかもしれねぇが、俺の…っ…俺のこと忘れないでくれないか？……辛い思いはさせたくないけど……でもっ……忘れられるのは……怖いっ……怖いんだよっ！」

３０.　「……ん？あぁ、お前か。俺がいなくなったからって心配して探しに来てくれたのか？どうせすぐ死ぬのに、どうだっていいだろ？………っ！痛てぇな！何すんだっ！…って、なんでお前が泣いてんだよ……くそっ……くそっ、くそっ！俺だってもっと生きたかったよ！俺だって……でも、もう無理だって。治すことはできねぇって言われちまったんだ。なら、どうだっていいじゃねーか。どうせ死ぬんだ。どうやったって……。」